異端とカルトついて　heresy 　cult

代表的な異端

三大異端

エホバの証人 ものみの塔

チャールズ・ラッセル(1852-1916) からはじまる。
長老教会で幼児洗礼を受けたラッセルはより自由な雰囲気の組合教会に移籍するが、
聖書に教えられている地獄の永遠の刑罰を恐れて組合教会を離れ、異端グループを形成する。
ラッセルの死後ジョセフ・F・ラザフォード(1869-1942)が会長になる。
三位一体、キリスト神性、地獄の永遠性を否定する異端である。
彼らの独自の訳である新世界訳聖書はキリスト神性を隠すような翻訳になっている。
年配と若手の二人組み、あるいは子連れでよく訪問してくる。

モルモン教

ジョゼフ・スミスからはじまる。
1805年にアメリカの貧しい農家の家に生まれたジョゼフ・スミスは、 ほとんど学校教育を受けることができなかった。
1823年、17歳の時に天使「モロナイ」があらわれ、 アメリカ・インディアンの歴史をしるした金版のありかを教えたという。
1827年にそれを手に入れ、改革エジプト語で書かれた金板を、
1829年に訳し終えたと言うが、この「改革エジプト語」なるものを真正であると認める学者は今日いない。
神は以前人間であった、人間も神になると主張。死者のためのバプテスマをする。一夫多妻を実行した。
聖書に『モルモン経典』『教義と聖約』『高価なる真珠』などを勝手に付け足している。多神教的な異端。青年がよく二人連れで勧誘する。英語をエサに使うことが多い。コーヒーやお茶を飲むことは禁じられている。

統一協会

文鮮明からはじまる。血わけと言われる性的な意味合いのある異端教理を持っている。
イエス・キリストは救済に失敗したため、韓国人文鮮明が再臨のメシアとして来たと主張。
聖書に『原理講論』を勝手に付け足す。合同結婚式、霊感商法で知られ、訪問しては怪しげな壷や珍味を高値で売りつける。

エキュメニカル諸派の中に見られる異端。

リベラル　Liberalism

横たわっているから子供を停止する方法

シュライエルマッハーからはじまる。
キリスト教の超自然的事柄を否定し、イエス・キリストが唯一の救い主であることを否定する。
現在は日本基督教団、聖公会などリベラル、エキュメニカル諸派の中に見られる異端。
英日曜紙『サンデー・テレグラフ』が報じたところによると、
英国国教会(聖公会)聖職者の4の1以上がイエス・キリストの処女降誕を信じていない。
改革派神学者J.G.メイチェンはこの異端のリベラルとの戦いの中で
『キリスト教とは何か-リベラリズムとの対決-』（いのちのことば社）を著した。
リベラルはエホバの証人と同じ解釈に立つ口語訳聖書を訳し、
日本基督教団出版局はジョン・ヒックによる多元主義の異端本を出版している。
（新改訳は口語訳に対する問題意識と文語訳精神の継承ということで訳された。）
エホバの証人、モルモン教、統一協会など三大異端との違いとして、
リベラルは偶像崇拝に妥協するとはいえ、表面上はキリスト教の礼拝形式をとることである。
彼らリベラルは十字架の福音を無視し、左翼運動を好んでいる。 新普遍救済主義の異端。

『教会成長シンポジウム』 新生運動　から引用。
p64「日本のリベラルはどこから始まるかというと、同志社大学からですね。 同志社大学出身の小崎弘道先生が、YMCAの夏季学校で最初に、「聖書のインスピレーション」という題で講演して、 それを否定するのです。これが日本における聖書信仰の否定の最初で、ここからはじまったわけです。」

異端のリベラルの例
日本基督教団　洛東教会

包括主義　

カール・ラーナーからはじまる。
彼はカトリック神学者であったが「無名のキリスト者」論を唱え、
イエス・キリストを信じない異教徒の中にもキリスト者とみなしうる者がいるとし、
他宗教のままイエス・キリストによって救われると主張する。
インドのカトリック司祭ライムンド・パニカーも有名な包括主義者である。

多元主義

ジョン・ヒックが唱える。
リベラル神学者ジョン・ヒックはカール・ラーナーの包括主義では不十分であるとし、
他宗教の者は他宗教のまま他宗教によって救われると主張する。
彼はこれを「諸宗教の神学におけるコペルニクス的転回"Copernican revolution"」と称し、
「宗教の宇宙は、キリスト教でもその他の宗教でもなく、神中心にまわっている」という。
彼の異端思想は日本基督教団の『もうひとつのキリスト教-多元主義的宗教理解-』で明らかにされている。
A.E.マクグラスはジョン・ヒックのキリスト論を「最低のキリスト論」と評した。

非神話化

ブルトマンが唱える。
聖書の処女降誕、復活、再臨、主イエスが地上でなされた奇蹟を神話と見なして否定し、これを「非神話化」しなければならないとする思想。 日本基督教団や聖公会などエキュメニカル諸派に浸透する。

ニューエイジ　New Age Movement

どのようにメディアがティーンエイジャーの生活に影響を与えている？

諸思想、諸宗教の混合シンクレティズムとなり、東洋の汎神論の影響を受け、人間の中に善性を見出す、オカルト的な霊的流れ。 カトリック神学者マシュー・フォックス神父は「深いエキュメニズム」を提唱し、
「深いエキュメニズムとは、全世界の知恵を解放する運動である。 すなわちヒンズー教、仏教、イスラム教そしてユダヤ教、道教、神道、そしてあらゆる形態のキリスト教。 そして自然宗教、世界中の女神崇拝。これは我々がホームと呼んでいるこの惑星の生き残りのための最後の希望である。」という。  

「自由主義（リベラリズム）キリスト教が他宗教にも寛容であろうとする姿勢は、
世界教会協議会（WCC）の第七回総会で韓国の女性神学者キュン・チュン・ヒュンが
死者の霊を呼び出す東洋的祭儀を実演して見せたことにも表れている。」
『ニューエイジの罠』CLC出版より

同性愛牧師。同性愛者同士の結婚式

日本基督教団や聖公会、オランダ改革派などリベラル・プロテスタントでは同性愛を公言する牧師、司祭がおり、 さらに聖公会やオランダ改革派では同性愛者同士（男同士、女同士）の結婚式が行われている。 彼らはそれを愛には多様性があるからだなどと称する。 ただしエキュメニカル運動でもローマ・カトリックや正教会は、同性愛神父も同性愛者同士の結婚も認めていない。

その他の異端。

クリスチャン・サイエンス

メリー・ベーカー・エディが創立。かつて組合教会に所属していた。キリスト神性、人間の全的堕落、十字架の贖罪、聖書の権威を否定し、 『科学と健康』を勝手に聖書に付け足す。

新エルサレム教会

イマヌエル・スエデンボルク（1688-1772）からはじまる。ヘレン・エラーもこの異端に惑わされた。 三位一体、聖霊の人格性を否定し、サベリウス様態論となっている。聖書にスエデンボルグの幻視と称するものを付け足す。 カルト出身者の作成したひつじの掲示板はこの異端をトップページに掲げているので注意が必要である。 制度的教会への反発のあまりのことであろうが、礼典否定と教理否定は異端へと至る。

子羊の群れ

ピーター・島田からはじまる。 以前より他の教会からの"羊泥棒"が問題とされていた。 この群れでは動物に洗礼を授ける。また死者の救いのために祈れば、その魂が救われると主張し、死者のための身代り洗礼に道を開いた。 『異端見分けハンドブック』によると教理否定の傾向がある。

イエス之御霊教会教団

1941年、天の異象によって「イエス之御霊教会」の名称が与えられたと言う。 村井屯ニがその教義を整え、1952年に日本聖書大学院を建設。村井屯ニの死後、村井スウが監督となる。
この異端は、三位一体を否定し、信仰義認を否定し、異言をしるしとする。死者のために身代りの洗礼を受ける。

原始福音　キリストの幕屋　生命之光

この異端は混合宗教、シンクレティズムに陥っている。
手島郁郎(1910-1973)は十代半ば、日本基督教会・熊本坪井教会で受洗し教会員となる。 しかし、無教会派の影響を受け1948年に原始福音運動をはじめる。 「日本の国と言うものは天照大神の御神勅によって、神武天皇がその心を体してはじまった国です」 「よくぞ天照大神よ、こんな美しい国をお造り下さった、それゆえに私は存在しています。」と主張。 『生命之光』は2万五千を超える購読者がいるという。

愛の家族

デイヴィッド.B.バーグからはじまる。
セックスをおとりにした「伝道」で人を勧誘し、生まれた赤ちゃんをジーザス・ベイビーと呼んだ。 日本にもコロニーがあり最近もアメリカの週刊誌ニューズウィークで取り上げられた。
この異端は三位一体を否定し、キリスト教会を否定、両親、家族制度を否定する。

ブランチ・ダヴィディアン

デイヴィッド・コレシュからはじまる。彼はSDA出身だったがここを除名された。ロック・ミュージックが好きだった。
一夫多妻を実行し、未成年者を含む多くの「妻」たちとの間に大勢の子供があった。 「ハルマゲドンに備え」多くの武器弾薬を貯蔵していたが、アメリカ麻薬火器取締局との戦闘で建物は炎上し子供たちは全員死亡した。

人民寺院　Pepole's Temple

ジム・ジョーンズ(1931-1978)からはじまる。
人種差別の問題に取り組み、アメリカの黒人、貧者救済などリベラルな社会派運動に熱心だった。 1974年、アメリカから南米ガイアナに移って集団生活をし、1978年ガイアナで集団自殺した。

異端ではないがカルト性が指摘される教会

ボストン・キリストの教会　東京キリストの教会

キップ・マッキーン（1954- ）からはじまる。インディアナポリス生まれ。父は米国海軍大将。 この教会以外のキリスト教会がたとい福音的であっても「真の教会でない」としてそれを否定していた。 キリストの弟子とするのではなく、リーダーが「弟子」を支配する傾向があった。 リバイバル新聞などで大々的にその問題が取り上げられ、改善の向きもあると言われている。

聖神中央教会

主管牧師、韓国人金保による婚外交渉と未成年者猥褻、強姦の犯罪で一般メディアにも放送された。死者の魂が悪霊になるという異端的な教理も持っていた。 だが救助にあたったアッセンブリーズの村上密牧師によると、驚くべきことにこの教会の中にもイエス様を信じて新生したクリスチャンがいた。 異端傾向はあるにしてもエホバの証人のような全面的な異端ではないのではないか。悔い改め、癒しと回復が望まれる。 村上密牧師とジャン・ドウゲン宣教師の助けにより脱会者の新教会が設立された。

主の十字架クリスチャンセンター TLCCC

パウロ秋元からはじまる。彼は福音派の神学校で傷ついた経験がある。 教理的な疑念はローマ・カトリック的な化体説をとることぐらいしかないと考えられるが、 パウロ秋元ら教会のリーダーによる強権的すぎる教会運営に問題があるのではないかと思われる。 支配の技法はカルトと同じものである。エゼキエル34章参照。月刊誌『ハーザー』によってカルト化の特集が組まれた。
マーリン・キャロザース師をよく招き本も出しているが、キャロザース師はここの実態を知らないのではないか。

破壊的カルト

幸福会ヤマギシ会

養鶏家、山岸己代蔵（1901-1961）が提唱したヤマギシズムを実践し、実現するために1953に発足。 「全人幸福社会」を実現させようと「実顕地」で集団生活を営む。 特別講習研鑽会、略して特講というセミナーで洗脳を施し、コミューンの集団生活に参加させる。 無我執を徹底させて、あらゆる面でヤマギシ会の奴隷にし、三人目の子どもや高齢出産の子どもを堕胎で殺させる。 ヤマギシ学園に入った子どもは肉体労働を強制され、激しい精神的、肉体的な虐待を受けている。 殴る蹴るの暴力は日常的で、熱湯をかける、倒して引きずる、冬に裸で外に放置するといった暴力のほかに、 長いときは十日以上個別研と称して部屋に監禁され、その間は正座を強要される。

異端やカルトについての参考文献
・異端
『異端見分けハンドブック』by 尾形守　プレイズ出版
『キリストの神性と三位一体-「ものみの塔」の教えと聖書の教え-』by 内田和彦　いのちのことば社
『「エホバの証人」の反三位一体に答える』by ウィリアム・ウッド　いのちのことば社

・リベラル
『キリスト教とは何か-リベラリズムとの対決-』by J.G.メイチェン　いのちのことば社
『キリストの処女降誕』by J.G.メイチェン　いのちのことば社
『まことの神、まことの人』by ジョン・ストット　いのちのことば社
『どんな宗教でも救われるか―福音的キリスト教信仰と宗教多元主義 』　by ハロルド・ネットランド いのちのことば社

・ニューエイジ
『ニューエイジムーブメントの危険』by 尾形守　プレイズ出版
『ニューエイジの罠』by 水草修治　CLC出版

・背教
『キリスト者の戦い』by D.M.ロイドジョンズ　いのちのことば社
『神なき時代のキリスト者』by フランシス・シェーファー　いのちのことば社
『惑わす者に打ち勝つ道』by バジレア・シュリンク　カナン出版　マリア福音姉妹会
『角笛を口にあてよ』by ディビッド・ウィルカーソン　角笛出版

・偶像
『千代に至る祝福』by 滝本明　CLC出版
『迫害の文脈化』by 石黒イサク　美濃ミッション　　

・カルト
『教会がカルト化するとき―聖書による識別力を養う』by ウィリアム・ウッド　 いのちのことば社
『カルト宗教と健全な信仰』 （セミナーCDです。書籍ではありません。） by 村上密　 ハーベストタイム
『カルトの子』by 米本和弘　文春文庫